金価格とVIX指数に相関関係はあるのか 過去の暴落時の両者の値動き
2016/01/27
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過去のチャートを振り返ると
「マーケットに不安が広がると金が買われる」と言います。
そしてマーケットの不安と言えば恐怖指数とも呼ばれるVIXです。
ならば金価格とVIX指数は同じように動くのか、検証してみます。
まず2005年以降のGLD(金のETF SPDR Gold Shares)とVIX指数のチャートです。
下方硬直性のあるVIXに対してGLDは、かなり明確な上げトレンド下げトレンドを形成していてその中での上下動になるので、どうも分かりにくいです。
問題なのは相場が大きく動く時だと思うので、過去、マーケットが大揺れに遭った箇所をクローズアップして見てみましょう。
アジア通貨危機・ロシア通貨危機
まず、アジア通貨危機からロシア通貨危機へと至る期間、1997年4月から98年12月です。
(上のチャートは金のETF、GLDの価格ですが、GLDは2004年末の上場なので、ここからはXAU(金の通貨コード)を使っています。1トロイオンスあたりのドル建て価格です。
相関係数-0.40822
通貨危機がアジアからロシアへと進行する中、VIXは出来事に敏感に反応していますが、金の上昇は限定的で、全体としてはこの期間下げ続けていて、弱めですが逆相関になっています。
同時多発テロ
次に9.11の前後を見てみます。
相関係数0.77421
9月11日から14日まで、米国の証券取引所がクローズとなったため、この間のVIX指数は存在しません。上のチャートは、9月14日まで10日の終値31.84をつなげて引いています。
この時には、金が大いに買われて、VIXと一緒に上がった後はVIXよりも長く高値を保ちました。値を下げていく時の動きも酷似しています。
サブプライム問題からリーマン・ショック
続いて、サブプライムローン問題、パリバ・ショックからリーマン・ショックの2007年初めから2008年の末までです。
相関係数 0.24536
2007年8月のパリバ・ショックの後、VIXは一旦沈静化しますが金は買われ続けます。しかしリーマン・ショックが起きると今度は「金までも売られる」という事態になりました。
相関係数0.24536は、チャートの期間(2007年1月から2008年12月)の値です。
これをパリバ・ショック期(2007年6月から10月としました)だけで計算すると0.10158。リーマン・ショック期(2008年9月から12月)は-0.42838 となり、連続したふたつの危機の色合いには違いが見られます。
米国債ショック
最後に米国債格下げの2011年です。
相関係数0.79689
ここでは、細かな違いがあるだけで、ほぼ連動しています。
4つの期間をまとめると
以上、4つの期間を見てきましたが、両者の動きはこんな感じです。
金は、デフレなど他の影響要因が大きく、マーケットの危機において反対に下がることもありますが、VIXは律儀です。
目先の暴落に対してはVIX関連商品のほうがヘッジとして有効であると言えるでしょう。
でも金の「変わらぬ価値」という長所は、VIXの先物オプションやETF(VXXなど)とは正反対に位置するものです。
金は、もっと長期的で壮大なヘッジとして保有するものなのかも知れません。
ここ最近の金とVIX
相関したりしなかったりの金とVIXですが、ここ最近はどうかと言うと…
時々、神がかり的相関を見せてくれます。
相関係数0.63960
改めて見ると「神がかり」ってほどでもないか(笑)
とは言え、これなら堂々と「相関している」と言っていいでしょう。
今現在は短期的に見るとダメです。
相関係数0.14214
2015年8月にVIXが大きく上がった時には金も上がりましたが、その後は、バラバラです。
金は株価よりも利上げを気にしているようです。
2014年以降のチャートです
相関係数 -0.32014
利上げの件が片付けば、親しい仲に戻る…?