VIXラボ

2016年のVIX指数 恐怖と喝采のトランプ

2017/01/12

2016年のVIXを振り返ります。

Contents

VIX終値

2016年VIX終値チャート

何はともあれ、まず終値のチャートです。

VIX_SP500_chart_2016

VIX終値年間平均値 15.83
終値最小値 11.34 2016/8/19
終値最大値 28.14 2016/2/11

2016年は、選挙・投票によってマーケットが右往左往させられた印象が強いですが、VIX指数が年間の最高値をつけたのは、Brexitの時ではなく2月でした。
取引時間中の最高値も、1月20日の32.09です。

Brexit、大統領選ともに開票の時間にはニューヨークもSP先物のシカゴもオープンしていないことが、関係しているかもしれません。

VIX終値の年間最大値 最小値 平均値

1990年以降のVIX終値、最大値、最小値、平均値は以下のように推移してきました。

最大値 最小値 平均値
1990 36.47 14.72 23.06
1991 36.20 13.95 18.38
1992 21.02 11.51 15.45
1993 17.30 9.31 12.69
1994 23.87 9.94 13.93
1995 15.74 10.36 12.39
1996 21.99 12.00 16.44
1997 38.20 17.09 22.38
1998 45.74 16.23 25.60
1999 32.98 17.42 24.37
2000 33.49 16.53 23.32
2001 43.74 18.76 25.75
2002 45.08 17.40 27.29
2003 34.69 15.58 21.95
2004 21.58 11.23 15.48
2005 17.74 10.23 12.81
2006 23.81 9.90 12.81
2007 31.09 9.89 17.54
2008 80.86 16.30 32.69
2009 56.65 19.47 31.48
2010 45.79 15.45 22.55
2011 48.00 14.62 24.20
2012 26.66 13.45 17.80
2013 20.49 11.30 14.23
2014 25.27 10.32 14.18
2015 40.74 11.95 16.67
2016  28.14  11.27  15.83

平均値の高い順に並べかえるこうなります。
2016年のVIX終値平均値は、27年間で18番目の高さ、最大値では16番目、最小値では19番目と、すべて真ん中よりも下にランキングされました。

最大値 最小値 平均値
2008 80.86 16.30 32.69
2009 56.65 19.47 31.48
2002 45.08 17.40 27.29
2001 43.74 18.76 25.75
1998 45.74 16.23 25.60
1999 32.98 17.42 24.37
2011 48.00 14.62 24.20
2000 33.49 16.53 23.32
1990 36.47 14.72 23.06
2010 45.79 15.45 22.55
1997 38.20 17.09 22.38
2003 34.69 15.58 21.95
1991 36.20 13.95 18.38
2012 26.66 13.45 17.80
2007 31.09 9.89 17.54
2015 40.74 11.95 16.67
1996 21.99 12.00 16.44
2016 28.14 11.27 15.83
2004 21.58 11.23 15.48
1992 21.02 11.51 15.45
2013 20.49 11.30 14.23
2014 25.27 10.32 14.17
1994 23.87 9.94 13.93
2005 17.74 10.23 12.81
2006 23.81 9.90 12.81
1993 17.30 9.31 12.69
1995 15.74 10.36 12.39

終値の前日終値比

2016年中終値前日終値比で最も大きく上がったのは、6月24日の+49.33%(17.25→25.76)でした。

2016年の前日終値比上位10営業日です。

Date 終値前日終値比
1 2016/6/24 49.33%
2 2016/9/9 39.89%
3 2016/6/13 23.14%
4 2016/1/7 21.37%
5 2016/9/26 17.98%
6 2016/9/13 17.74%
7 2016/6/10 16.33%
8 2016/10/11 14.80%
9 2016/4/7 14.69%
10 2016/6/22 14.56%

90年以降の終値前日終値比上げ幅上位10営業日は、以下の通りです。
6月24日は、2015年8月を抑えて史上第5位でした。

日付 前日終値比
1 2007/2/27 64.22%
2 1991/11/15 51.72%
3 1990/7/23 51.50%
4 2011/8/8 50.00%
5 2016/6/24 49.33%
6 2015/8/21 46.45%
7 2015/8/24 45.34%
8 2013/4/15 43.20%
9 1994/2/4 41.86%
10 1990/8/3 40.68%

11月の大統領選は、かすりもしません。
前日比の変化においては下げ方のほうで存在感を発揮しています。

2016年VIX終値前日終値比下落率ランキング

Date 終値前日終値比
1 2016/11/9 -23.27%
2 2016/6/28 -21.38%
3 2016/6/23 -18.52%
4 2016/11/7 -16.88%
5 2016/9/21 -16.46%
6 2016/1/22 -16.30%
7 2016/12/5 -14.02%
8 2016/3/1 -13.87%
9 2016/9/12 -13.37%
10 2016/6/29 -11.25%

選挙前の10月25日から11月4日まで、9営業日連続の上げがあり、11月4日には22.51をつけましたが、11月7日に16.88%下げて18.71になり、投票の当日(11/8)はプラス0.5%のほぼ横這い。米国深夜にトランプ当確が出た11月9日には、マイナス23.27%の14.38と終値で年間の平均値を下回りました。(11/9始値は20.7)

大統領選前後をローソク足チャート日足で見るとこんなふうです。

大統領選前後のVIXローソク足チャート

イベント直前が高く結果が出れば下がるというパターン通りではあるのですが、その間に挟まれた東京は、売られて買われて大変でした。

下落率の2位には6月28日が入りました。
(Brexit投票は23日。NY市場が投票結果を知っての最初の営業日は24日の金曜でした)

トランプの11月9日は、終値ベースの下落率史上6番目、Brexit後の6月28日が10番目にランクインしました。

日付 終値前日終値比
1 2010/5/10 -29.57%
2 2011/8/9 -26.96%
3 2006/6/15 -25.91%
4 2008/10/20 -24.68%
5 1994/4/5 -24.05%
6 2016/11/9 -23.27%
7 2007/9/18 -23.15%
8 2007/11/13 -22.48%
9 2008/10/13 -21.39%
10 2016/6/28 -21.38%

日中高値

日中の高値で2016年最大の値は、1月20日の32.09でした。
リーマン・ショック後の2008年10月24日に出した89.53の足元にも及ばない数値、史上496番目の高さです。

日中高値の前日終値比

日中の高値と前日の終値を比べたとき、2016年中最も上げ幅の大きいのは6月24日です。

日付 日中高値前日終値比
1 2016/6/24 52.12%
2 2016/9/9 40.21%
3 2016/1/15 29.23%
4 2016/1/4 28.28%
5 2016/9/29 26.63%
6 2016/2/3 26.02%
7 2016/1/7 25.59%
8 2016/9/13 25.13%
9 2016/6/13 23.37%
10 2016/1/20 23.19%

これは、史上5番目の上昇率でした。

日付 日中高値前日終値比
1 2015/8/24 90.12%
2 2007/2/27 70.49%
3 2010/5/6 63.43%
4 1997/10/28 56.30%
5 2016/6/24 52.12%
6 2008/10/22 51.84%
7 2011/8/8 50.00%
8 2015/8/21 48.28%
9 1994/2/4 45.40%
10 2011/8/18 43.38%

オープンからクローズの値

VIX指数の始値から終値のデータを見てみます。

VIX日足陽線陰線比率

2016年の営業日は252日ありました。

そのうちVIX指数が陽線で引けたのは102回、陰線149回、寄りと引けの値が同じだった日が1回でした。

昨年も陰線の方が多い一年でした。

VIXには元々陰線傾向があります。
1992年から2016年までの6,299営業日中、陽線の日は2,714日(43.09%)、陰線の日は3,538日(56.17%)、寄引同値47日(0.75%)となっています。
(1990年、1991年は終値以外のデータがありません)

VIX指数陰線陽線比率1992以降

陽線の日 陰線の日 寄引同値
1992 54.33% 44.88% 0.79%
1993 44.66% 55.34% 0.00%
1994 54.76% 44.05% 1.19%
1995 55.16% 43.25% 1.59%
1996 54.33% 44.49% 1.18%
1997 44.66% 54.15% 1.19%
1998 44.05% 55.95% 0.00%
1999 46.43% 53.57% 0.00%
2000 43.25% 56.75% 0.00%
2001 35.89% 62.90% 1.21%
2002 37.30% 61.51% 1.19%
2003 36.51% 63.10% 0.40%
2004 41.67% 57.54% 0.79%
2005 44.44% 54.76% 0.79%
2006 37.45% 60.56% 1.99%
2007 40.64% 57.77% 1.59%
2008 43.08% 56.92% 0.00%
2009 40.08% 59.52% 0.40%
2010 37.70% 61.51% 0.79%
2011 41.27% 58.73% 0.00%
2012 38.80% 60.80% 0.40%
2013 39.68% 59.92% 0.40%
2014 40.87% 57.54% 1.59%
2015 38.89% 60.32% 0.79%
2016 40.48% 59.13% 0.40%

日中上げ幅下げ幅

おしまいに昨年の1年間の日中変動幅を確認しておきましょう。

2016年中、オープンからクローズで最も大きく上げたのは、9月9日(12.52→17.5)の39.78%アップです。

これは史上4番目の上げ幅でした。過去の日中騰落率のランキングです。

日付 日中騰落率
1 2007/2/27 51.07%
2 2015/8/24 45.34%
3 1994/2/4 42.39%
4 2016/9/9 39.78%
5 2013/2/25 38.71%
6 2013/4/15 31.63%
7 2008/10/22 31.42%
8 2011/8/8 30.08%
9 1995/12/18 29.68%
10 2011/8/4 28.86%

反対に日中最も大きく下げたのは、トランプ当選後の最初の取引日11月9日です。この日、VIX指数は始値20.7から終値14.38に30.53%下がり、薔薇色の日々がスタート。すぐさま「トランポノミクス」という言葉が使われるようになりました。

一日の中で30%以上下げたのは1992年以降2回だけです。
2016年11月9日は、史上2番目によく下がった日になりました。

日付 日中騰落率
1 1997/10/28 -31.67%
2 2016/11/9 -30.53%
3 2008/10/20 -24.76%
4 2016/9/12 -24.69%
5 2006/6/15 -24.47%
6 2008/10/13 -21.39%
7 2007/9/18 -21.09%
8 2008/3/18 -20.01%
9 2010/5/25 -19.79%
10 2014/12/17 -18.66%

2016年4月15日以降の「始値」は、CBOEのシカゴ時間の午前2時15分です。(NYの午前3時15分、日本時間の午後5時15分)

NY時間午前1時(シカゴ午前0時)の開票状況のキャプションです。
この時点でトランプ当選確率が95%になっていました。
VIX指数が動き出すのは、約2時間後、全世界がトランプ勝利を知っていたことになりますが…

1500_トランプ当選確率95– The New York Times

The New York Times

この日のVIX指数5分足です。

2016大統領選1109のVIX指数コメント

InteractiveBrokersTWS

VIXの2016年

VIX指数には、年の前半は低く秋に高騰するというアノマリーがありますが、2016年は、年の初めの上げが年内の最高値になりました。

1月2月は、米国利上げで過敏になっているところへ中国経済減速原油の下げが重なっての荒れ模様で、スパイクしてシュートするというVIXらしい動きではなく、下がったと思うとまた上がり全体として高止まりのようになる、スケールをぐっと小さくしたリーマン・ショック型ダメ相場になりました。

マーケットをおおいに揺るがせた印象のあるふたつの投票のほうは、(主に日経の)急落を呼びはしましたが、すぐにVIX指数が定位置に戻るタイプの下落でした。

大統領選前のVIX指数は、9営業日連続で上げ続け、これは史上最長記録です。
中でも10月25日から11月3日までの期間は、3%以上の上げを8営業日連続で記録し、これも史上最長でした。

しかしトランプの勝利を受けてVIXは急降下し、その日のうちに30%以上のダウンと、こちらも記録的な下げ方でした。

本選挙の直前にこんなにVIXを上げた候補もいなければ、当選でこうも一気にVIXを下げた次期大統領もいません。
元々大して上がっていない時は下げようがありませんが。

参考:アメリカ大統領選とVIX

11月8日に何が終わって何が始まったのか。
それが分かるのは、まだこれからです。

この後、ボラティリティ4指数(VXST、VIX、VXV、VXMT)と、VIX先物(コンタンゴ/バックワーデーション、プレミアム/ディスカウント)の一年間を確認します。

付録チャート Brexit前後のVIXローソク足

上で大統領選のローソクチャートを見たので、Brexit前後のものも作っておきました。

Brexit前後のVIXローソク足チャート

2016年振り返りシリーズ続きはこちら↓に
2016年のVIXとVXST VXV VXMT
2016年のVIX先物 コンタンゴ/バックワーデーション編

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