VIX指数とは ~びっくりとVIXをつなぐもの
2016/12/09
Contents
びっくりするからビックス指数?
年に数回話題にのぼり、普段は忘れられている。 漠然と「市場のやばさを示すモノ」として知られるこの指数。 お前はいったい何者よ?
恐怖指数との別名を持つVIX指数は、今後30日間のインプライド・ボラティリティの数値です。
インプライド(Implied)。暗に示す、暗に意味するボラティリティ…ますます分かんねーじゃねーか!と怒られそうですが、「予想変動率」のことです。
市場の変動率を投資家がどう予測しているかということです。
ではその予想という形のないものをどうやって数値化しているのか。
VIX指数のネタ元
それは S&P500先物オプションの第1限月、第2限月のアットザマネー(ATM)、アウトオブザマネー(OTM)の売買状況(bid/ask)です。
このオプション価格からVIX指数を算出する数式はCBOEのサイトやWikipediaにもありますが、私は金融工学を学んだこともなく、この式を見ても何がなんだか分かりません。
…が、見ます?
算出法はここにあります…→CBOEのVIXホワイトペーパー
エクセルで計算したい人はここに→Calculating the VIX in Excel
逆にこういうのが大好き!と言う人にとっては、とても面白いものだと思います。
とにかく!これからS&Pが大きく動くと予想する人が多ければ、アウトオブザマネー(OTM)のオプションは買われて価格が上がるので、VIX指数も上がるわけです。
ごく簡単に言うと、
オプションがより外側までより多く買われればVIXは上がります。
VIXは、SP500のインプライド・ボラティリティです。ダウではなく。
ダウ版のVIX指数というのは、別にあります。VXDという指数がそれです。
他にナスダックのVIX「VXN」、ラッセルのVIX「RVX」とあります。
日々のVIX、VXD、VXN、RVX終値は、毎朝Vix Data NY Close でお知らせしています。
「OTMが買われたらVIXが上がるなら、急騰の時も上がるの?」
という疑問を持たれることと思います。
上がります。コールが大量に買われれば、ですが。
いきなり米国のVIXではなく日本のVI(日経平均ボラティリティ・インデックス。VIX指数の225版です)の話になってしまいますが、ここ最近の株価急騰事例として、みなさんが一番よく記憶してるものと言えば、2014年10月31日の黒田バズーカ2だと思うので、あれを例にとります。
参考 日経平均ボラティリティ・インデックス(日経VI)、その先物とETN
ザラ場中の発表直後からコールが買われに買われ、権利行使価格17000のコールは1円から300円(!)に跳ね上がりました。
その時のVIの動きはと言いますと…
10月30日引けの20.99から、31日終値が25.22、日本の祝日をはさんでの週明け11月4日には終値30.49をつけています。
赤丸で囲んだところがその時です。
日経平均と日経VIが一緒に上がっています。
ではなぜ、VIXが上がるのは暴落の時だと感じるのでしょう?
感じるだけでなく、実際にS&PとVIXのチャートを見比べて見ても、やはりVIX上昇=S&P急落です。
これは、相場の上げと下げの性質の違いによるものです。
「上げ100日下げ3日」と言われるように、上げはゆっくりと長く続き、下げは落ちるナイフのごとくフルスピードで落下することが多いです。
バズーカ等の例外的ケースを除く通常の上げ相場では、日々タイム・ディケイにプレミアムを食われるコールオプションを買うより、先物や現物を買うほうを選ぶことが多いでしょう。
逆に急落の場合はどうでしょうか。
半年かけて上がって来た値幅を数日で帳消しにしてしまうことすらあるのが暴落です。
非常に大きな下げで、大外のプットが100倍以上になる事態も数年に一度は起きています。
急落にはプットで勝負するのが有効なことがよくあります。
また、株はやはり買いが基本です。現物を買い持ちしていて売れない状態の時にS&Pが下がり始めた場合にヘッジのためにプットを買うことは良くあり、これは逆のケースよりずっと多いはずです。
チャートに次々と長い陰線が引かれていく様子を見るのは恐ろしいものです。
永遠に下がり続けるんじゃないかと思ったりします。
人の心理として、上がる時のコール買いよりも下がる時のプット買いのほうが激しいのは、自然なことと言えるでしょう。
で、何が言いたいかと言うと
サマリ ~びっくりとVIXをつなぐもの
1. VIX指数は、S&PオプションOTMの価格から算出されている。
2. OTMのオプションが多く買われるのは、相場の急変動のときである。
3. 相場の急上昇は稀だが急落はよく見られ、人は急落のほうに強く反応しやすい。
4. よって、VIX指数は相場の暴落で上がるとの印象を持たれている。
ってことです。
つまり「びっくりするからビックス指数」なのです。
びっくりするから上がる。普段はその認識で充分だと思います。
ですが、
この、「びっくり」と「VIX」の間に「オプション」という要素が入っているという事実が、VIX指数の動きを不可解なものにさせることが時々あります。
VIXがおかしい時、オプション界で何かが起きています。
理由がなんであれ、VIXが上がるのはOTMのオプションが買われているときです。
オプションの建玉の状態を通して、マーケット参加者の市場予測のありようを映し出しているのがVIX指数です。
room5110
VIX指数はその性質から、株売買のインジケーターに使われたり、VIX先物やそのETFなどの金融商品を利用してVIX自体の動きから利益を得るために用いられたりします。
ブログタイトル「room5110」の「5110」は、VIXのVとIとXをローマ数字式に読んだものです。
この魅力的な指数をいかに有効に活用するか、これからじっくり(ゆっくり)研究して行きます。
以下は、ちょっと重要かもしれないVIXネタです。ご参考に
VIXの季節性
VIX指数の長期サイクル 年足の鳴らす かすかな警鐘
↓ちまちまと中味増やしてます
Vix資料リンク
月に一回くらい「VIX 読み方」というキーワードでここへたどり着く方がいるようなので。
Vは下唇を軽く噛んでください(笑)