ブラック・マンデーとVIX(VXO)
2016/11/27
Contents
イエレン利上げは波乱の幕開け
年明け早々まずい相場になっています。連日「大発会から何日連続で下げるのは史上初」とか、「ダウ史上最悪の年明け」とか、気持ちのよくない言葉が聞かれます。
8年ぶりの「金利のある新年」は、世界的な株安となってしまいました。
「暴落」という言葉まで出始めています。
暴落と聞いて多くの人が思い浮かべるのは、あのリーマン・ショック、そしてブラック・マンデーでしょう。
リーマン・ショックについては、いくつかのエントリーでVIXの動きをあわせて見て来ました。
VIXを通して振り返る歴史的暴落-リーマン・ショックの1年前にVXX(1552)を買っていたら
金価格とVIX指数に相関関係はあるのか 過去の暴落時の両者の値動き
リーマンショックでVXXとSP500を一緒に買っていたら VXVを使ったS&Pの売買インジケーター
今度は、ブラック・マンデーを振り返ってみます。
VIXの前身「VXO」
VIX指数が公式に発表されるようになったのは、1992年です。(90年からのデータも公表はされています)
ブラック・マンデーが起きたのは1987年なので、当時VIX指数は存在しません。
でも、1986年から計算されていたVXOという指数があります。
これはSP100のオプション価格から算出されたものです。(VIXはSP500のオプション価格を元にしています)
このVXOは、現在も日々算出・公開されています。
昨年の年初から現在までのVXOとVIXのチャートです。
ほぼ同じように動いています。
今回、VIXの代わりにこのVXOを使って、ブラック・マンデーを振り返ります。
ブラック・マンデー前後の2年間
「ブラック・マンデー」と呼ばれるのは、1987年10月19日のことです。
原因には諸説があり、明白なきっかけがあったわけではありません。複数の株価下落要因が重なって起きたもののようです。
ブラック・マンデーのSP500
1987年から1988年のSP500のチャート(終値)です。
日付が入っていなくても、どこがブラック・マンデーなのか分かりますね(笑)
前日(10月16日金曜)282.7でクローズしたS&Pは、週明け月曜20.47%DOWNの224.84まで下がります。
ブラック・マンデーのVXO
同期間のVXOの終値チャートです。
仕手株のチャートみたいになっちゃって。
VXOは16日金曜、36.37で引けましたが、ブラック・マンデーとなる19日、96.12%UPの71.33でオープンすると、取引時間中に急ピッチで上昇し、日中最高値で152.48をつけます。クローズは150.19でした。これは前日終値のプラス312.95%。1日の上昇率においてこの記録は未だ破られていません。
ブラック・マンデー時のVXOの最高値は、この日の152.48ではありません。翌20日、更に14.2%上げた171.52で始まり、172.79まで伸ばします。
この172.79がブラック・マンデーの最高値、VXO史上の最高値であり、VIXを含めてもこれを上回る値はありません。
ブラック・マンデー前後の4ヶ月間
静けさと混乱の85日間
ブラック・マンデー前後85営業日のVXOとSP500です。
暴落の前、どちらの値も横這いに近い状態になり、特にVXOは不気味なほど静かです。チャートはそこからほとんど直角に上がっているように見えます。
でも、このチャートをもっと拡大すると、意外にそうでもないことが分かります。
黒い22日間
拡大してもよく分からなかったので(笑)、ちょっと加工しました。
グリーンの丸で囲んだ箇所を見て欲しいのです。
19日に上に大きく伸びているので分かりにくいのですが、16日にも、前日比で30.55%上げているのです。
1990年以降VIXが1日で30%以上上昇したのは24回しかありません(一覧はこちらに)30.55%の上げは平均すると年に1回弱しか発生しない事態です。
SP500も16日の時点で前日比5.16%下がっています。
ブラック・マンデーが突然の急落であることは間違いないのですが、まったく予兆がないまま、月曜に始まった暴落だったわけではないです。
ここからは「VIXが30超えたから、そろそろ反転。逆張りの買い!」等の決め打ちで裸買いするのは、蛮勇であることが分かります。
それでうまく行くことも多々あるでしょうから難しいところですけども、ピークアウトを見てから買い出動するほうが安全でしょう。
決め打ちするならVXX(1552)か、指数のプットを一緒に買うのがいいかもしれないです。(分量適宜)
このブラック・マンデーを挟む1987年10月1日から30日までの22営業日の値動きを表にしましたので参考に。
付録
ゴージャスな付録
マーケット・ウィナーズ(6/4放送)
テーマ:ブラック・マンデーの再来はあるか?
6/4は、2008年の6/4です。リーマンの少し前です。
ゲスト岡崎良介氏となってますが、これは岡崎さんの番組です。(マーケット・アナライズの前にやっていた番組)
この頃、株価が不調で1987年のようになるんじゃないかという話がチラホラ出始めていたことを受けて、1987年と2008年の類似点を検証してみようという企画です。
付録としたのは、この時と今では事情の違うこともあること。岡崎さんの考えにも変化した点があるかもしれないことなどを鑑みてのことです。
なにせ8年前のものですので。これだけで判断はしないで下さいまし。
でも、注視するべきポイントとして、ここに上がっているものはどれも納得の指標かと思います。
今当てはまっていない要素が、当てはまってしまったときは、かなり要注意なのかなと。
何がどうなったらブラック・マンデー級の惨事になるのか。岡崎さんが今現在考えていることは、先月に出たKindle本に書いてあります。
2016年マーケットはどう動く 岡崎良介の投資戦略 Black Book
役に立たないオタ付録
VIX指数が前日比+30%以上で引けた日全リスト
2007年2月27日は、上海ショックと呼ばれる暴落の日でした。
あの国しょっちゅうショック起こしてるからネーミングがだんだん大変に。